TCFD提言に基づく開示
当社グループは、サステナビリティに関する社会の期待や要請に応えるためには、各事業の強みを生かし持続可能な社会へ貢献することが、当社グループの長期的な成長につながると考えESG課題の解決に向けた取組みを推進しています。その要素の1つである気候変動課題について、TCFDの提言に基づいた分析を実施したため情報開示致します。
ガバナンス
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とした「リスク管理委員会」で気候変動課題について審議、検討しています。当委員会は、月1回の頻度で開催され、各社から報告される気候変動関連リスク及び機会について審議、検討を行い、さらにその中で重要と判断された事項については取締役会へと報告されます。取締役会では、最終的な対応方針などを決定し、リスク管理委員会を通して各社へ対応を指示することでグループ全体の経営戦略に反映しています。実際に電気使用量の削減に向けてモニタリングシステムの導入や、エコ運転の啓蒙活動として営業車へのGPS端末設置など意識づけに当たっての施策検討などを実施しています。
リスク管理
当社グループでは、リスク管理委員会を中心として気候変動リスクを含む重大なリスク発生を未然に防ぎ、また万一重大なリスクが発生した場合、事業への影響を最小限にとどめるように努めています。リスク管理委員会は月1回開催され、各社より挙げられた気候関連課題と、その他の全社的なリスクを統合し、当社グループの業績への影響とステークホルダーの期待の2軸をもとに相対的に評価することで重要リスクを特定しています。
特定した重要リスクについては取締役会へと報告され、最終的な対応方針などが決定されます。その対応方針を受け、リスク管理委員会では各社への指示並びに対応の進捗状況のモニタリングが行われます。
戦略
当社グループでは気候変動によるリスクと機会の特定及び評価を行うためにシナリオ分析しました。2023年3月より実施したシナリオ分析では、脱炭素へ移行する2℃未満シナリオと現状のまま地球温暖化が進行する4℃シナリオを想定し、2030年の将来世界について分析を行いました。
各シナリオの詳細
2℃未満シナリオ | 4℃シナリオ | |
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気温上昇 | 2100年までの気温上昇を2℃未満に抑える世界 | 2100年までの気温上昇が約4℃の世界 |
想定される世界観 |
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分析に使用した 具体的なシナリオ |
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リスク機会一覧
項目 | 時間軸 | 当社グループへの影響 | 評価 | 対応策 | ||
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2℃ 未満 |
4℃ | |||||
移行リスク | カーボン プライシング |
中期 ~ 長期 |
【全社】事業活動に伴うCO2排出量に対して炭素税が課され操業コストが増加する | 大 | - |
|
省エネ政策 | 中期 ~ 長期 |
【全社】省エネ政策が強化により、製造設備及び販売店舗の設備の高効率機への切替えコストが発生する | 〇 | △ | ||
エネルギー コストの変化 |
中期 ~ 長期 |
【全社】再生可能エネルギーの比率の高まりにより電力価格が高騰する | 大 | 小 | ||
フランチャイザーからの要請 | 中期 ~ 長期 |
【全社】フランチャイザーから省エネ機器の導入やScope3算定など気候変動への対応要請があり、対応コストが発生する | 〇 | △ | ||
移行機会 | 顧客行動の変化 | 中期 ~ 長期 |
【車関連事業】消費者の低燃費車やEV車(二輪車も含む)への買い替え需要の高まりにより車関連製品の売上が増加する | 〇 | △ |
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物理リスク | 異常気象の激甚化 (台風、豪雨、土砂、高潮等) |
短期 ~ 長期 |
【全社】異常気象災害の激甚化による自社拠点およびオーナー拠点の被災やサプライチェーンの寸断による損害や営業停止による損失が発生する | 中 | 大 |
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平均気温の上昇 | 中期 ~ 長期 |
【全社】国内事業会社が展開する食品事業の店舗や本社オフィスの空調使用料が増加し、空調コストが増加する | △ | 〇 |
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物理機会 | 降水・気象パターンの変化 | 短期 ~ 長期 |
【車関連事業】国内の豪雪地帯の降雪量の増加で、自動車のチェーンなどカー用品の需要が高まる | △ | 〇 |
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[時間軸定義]短期:0~3年 中期:~2030年 長期:~2050年 大:1億円以上の影響を想定 中:5千万円以上~1億円未満の影響を想定 小:5千万円未満の影響を想定 ‐:影響はないと想定 〇:定性的な評価で影響があると想定 △:定性的な評価で影響は小さいと想定
- ①2℃未満シナリオの分析結果
当社グループは車関連事業や業務スーパー事業などをグローバルに500店舗以上を展開しており、操業のために排出しているGHG(対象範囲は国内拠点)は2022年度でScope1が1,326.3tCO2、Scope2が34,731.8tCO2、使用電力量は91,340,733.0kWhと多くのエネルギーを使用しています。今後の脱炭素社会の実現に向けた炭素税の導入と再エネ比率の高まりに伴う電力価格の高騰により、事業活動に伴う操業コストの増加を大きなリスクとして想定しています。一方、市場の動向としてEV車への買い替え需要が期待されるため、EV車関連製品の売上増を機会として想定しています。 - ②4℃シナリオの分析結果
当社グループが保有する拠点をハザードマップで調査(2023年8月時点)したところ、約20%の拠点が洪水の最大浸水深である300cm以上と予測されました。特に愛知県内の拠点は激甚的な被害予想が集中しています。今後、洪水や高潮をはじめとした異常気象がさらに頻発し激甚化が進み、大きな影響が各拠点に及んだ場合、保有する資産の被害や営業停止による損失を大きなリスクとして想定します。一方で、降雨パターンの変化により降雨量が増加した場合、車関連事業においての雨対策関連製品の需要の増加を重要な機会として想定しています。 - ③リスク低減及び機会獲得に向けての対応
2℃未満シナリオへ適応するため、店舗のLED化や太陽光パネルの導入を促進し、Scope1,2を削減することでリスク低減に努めています。機会獲得に向け、EV車に対する従業員の知識定着や整備経験の蓄積などに向け社内整備を進めています。
また、4℃シナリオへ適応するため、各店舗において災害対策備品を常備するなどのBCP対策を徹底する他、ガソリンスタンドに自社発電を備え、災害時の避難場所として使用できるように整備しています。また、カーコーティングやガラス撥水用品など雨対策関連製品の販売拡大に努めています。
指標及び目標
当社グループでは、気候変動によるリスクと機会を管理するための指標を温室効果ガス(GHG)としており、2030年度に2022年度比50%の削減を目指しています。2022年度のGHG排出量はScope1で1,326.3tCO2、Scope2で34,731.8tCO2でした。今後もGHG排出量を継続的にモニタリングするとともに店舗のLED化や太陽光パネルの導入促進をはじめとした削減活動を強化してまいります。
GHG排出量実績 | 2022年度 | |
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合計 | 36,058.1 | |
内訳 | Scope1 | 1,326.3 |
Scope2 | 34,731.8 |
※単位はtCO2 ※対象範囲は国内拠点
サステナビリティ